なでしこ、華麗なサッカーで中国を粉砕。優勝かけ豪州とガチンコ勝負 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 73分、有吉佐織(日テレ・ベレーザ)がボールを持った瞬間から、「早く!!」とボールを要求。左ペナルティエリアの際――そこには横山の大好物のゾーンが広がっていた。

「相手のプレッシャーも弱かったので狙いにいった」というシュートは、GKが目一杯に伸ばした手のさらに先を抜けてゴールに突き刺さった。

 勝利を引き寄せるゴールを決めた次の瞬間、横山が目指したのはベンチだった。待っていたのは横山の苦悩を知っている選手たちだ。横山は、ようやくはじけた笑顔でその輪に飛び込んだ。よろこびを噛み締めるように、込み上げる感情とともに横山を受け止めた阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)の表情がこのゴールの重みを物語っていた。

 その後、横山は自身のPKでの得点と、自身のファウルでのPK献上と、後半すべての得点に絡むことになるが、それらすべてを飲み込む決定的なゴールだった。

 この試合で面白い試みをしていたのが有吉だ。なでしこジャパンでは右サイドバックとしてその存在感を示してきたが、この日彼女が託されたのはまさかの左サイドバックだった。突然の起用でも、所属チームでは本職。サイドハーフにチームメイトの長谷川唯が入ったこともあって、混乱は全くなかった。それ以上に、この大一番で最大のチャレンジをしてみせた。

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