バテた韓国に勝てず。なでしこよ、今変わらないで、いつ変わるんだ! (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 試合前からチ・ソヨンを警戒していた隅田だったが、あまりに自由にされてしまった前半への反省から、後半にむけては冷静にある判断を導いた。

「飛び込まずに相手の動きを止めるポジショニングを取る」(隅田)。

 これが徐々にハマりはじめ、チ・ソヨンは簡単に前を向けなくなった。次第に韓国選手の足が止まっていく。前半に日本が凌ぎ切った韓国の攻撃は、想像以上に韓国選手の体力を奪っていたようだ。全員が攻撃に視野を切り替えつつ、カウンターを十分にケアしながら、最後まで無失点に抑えることができたのは、守備が大崩壊したアルガルベカップの教訓が根付いたからだろう。

 深刻なのは、いまだ克服できない攻撃面の課題だ。スコアレスで折り返し、韓国の足が止まった終盤にゴールを割る。ちゃんとプランはあった。4-1-4-1を敷く韓国相手に、厚みのある中ではなくサイドから崩す――。

 しかし、前半にサイドをえぐられていたため、清水梨紗(日テレ・ベレーザ)、鮫島彩(INAC神戸)の両サイドバックはおいそれと上がることができなかった。加えて中央にもスペースが生まれたことから攻撃がどんどん中寄りに偏っていく。それに応じて、固まっていく韓国守備。悪い傾向だった。

 そんな中でも一番のビッグチャンスは課題のひとつであったセットプレーで訪れた。62分、川澄奈穂美(シアトル・レイン)の左CKに合わせたのは、後半から入った菅澤優衣香(浦和レッズ)。このチーム始まって以来のベストなタイミングといっていいほどの形だった。

「ミートしたので、自分でも来た! と思ったんですけど......」(菅澤)

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