2018.04.09

なでしこ、W杯出場への初戦を
4-0勝利も浮かない表情なのはなぜ?

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 熊谷紗希(オリンピック・リヨン)も同様の感想を持つ。センターバックを組んだ市瀬菜々(ベガルタ仙台)とともに、一枚だけ残っていたベトナムFWをケアしながらカウンターを封じた。シュートは打たれたものの、最後まで得点を許すことなく完封したが、熊谷もまた晴れやかな表情とは言い難かった。

 勝たなければならない初戦で、かつ時折6バックにもなる守備を固めたベトナムが相手。あえて自らが引き出されて、市瀬がカバーに入るという形も功を奏していた。その分、攻撃の起点となる機会も増えた一方で、チームはゴールを思うように重ねることができなかった。

 完全にゲームを掌握していた日本は、多くのセットプレーのチャンスも得ていた。CKに至っては13本を数えた。このチームが今欲しい最強アイテムのひとつがセットプレーでの得点だ。合わせる選手のポジショニング、入り込み方、蹴り手の球種、スピード……あらゆる組み合わせを試していたが、そのどれも実を結ぶことはなかった。想像以上の苦戦といっていい。ここは早急に合わせていかなければならない課題となった。

 また、自身のゴールを含む全得点に絡む活躍を見せた岩渕も笑顔は少なかった。「4ゴール……少ないです。圧倒的に勝利しなければいけない相手にコンビネーションプレーが少なかった」と声を落とす。

 何とかゴールをという岩渕の意気込みは伝わってきた。前半終盤、右サイドでボールを持った岩渕は一気にドリブルで1枚、2枚とかわしてシュートコースを探る。しかし、ベトナムもしぶとく1枚はがされてもまた次の1枚と、しっかりマークにつく。