やはり、川澄奈穂美がいると違うのか。なでしこ大勝でアジア杯に臨む (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 もっとも盛り上がりを見せたのが7点目だ。後半残り30分となったところで途中出場した川澄奈穂美(シアトル・レイン)は「勝つことはわかっていたゲームでしたけど、そういうときにこそ、守備のところ、戻るところ、攻撃の厚みをつけるところは走り切る」と、意識づけをして臨んだ。

 高倉監督のもとでは初出場となるピッチで、彼女の一挙手一投足に視線が集まる。無理なく相手をいなしながら縦へ推し進めたかと思えば、鋭いラストパスを配給するなど、動じることなく試合を動かす姿は代表ブランクを感じさせなかった。

 菅澤優衣香(浦和レッズL)から岩渕真奈(INAC神戸)とつないで、ボールを受けた川澄がチラリと中をうかがえば、「必ずパスを出してくれると信じて走った」という鮫島。「サメか~って思いましたけど(笑)、頭で合わせてあげればよかったかな」とアシストにも余裕も見せた。結果、川澄が選んだボールはGKとの間の浮き目のもの。鮫島はGKの足元を抜くゴールで応えた。前半からアップダウンを繰り返して攻守に貢献していた鮫島の前線までの猛ダッシュは"信頼"があるからこそできる形だった。

 とはいえ、相手は格下のガーナ。これだけ攻撃陣がスペースを生み、リズムを作り、フィニッシュに持ち込めた末の7ゴールはある意味当然の結果である。

 その中でも、中央、サイド、最終ラインから裏を狙い、田中、岩渕、増矢、中島、高木ひかり(ノジマステラ相模原)、菅澤、鮫島とそれぞれに異なる形でゴールを生んだことは評価できる。ただ、裏を"突く"プレーが目立ったことによる単調さは否めなかった。

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