もったいない森保ジャパン。2点先制→10分間で3失点が起きた要因 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 針谷はそう分析した。球際で劣る場面が見られるようになり、全体的にズルズルと下がる様子がチームのナイーブさを表していた。力強く鼓舞する選手も見当たらず、気がつけば3点を失っていたという感じ。悪い流れを断ち切ることができなかった。

 実はこのあとも57分、66分と決定的な場面を作られ、GK山口の好セーブによって失点を免れている。「4失点目だけはやらせないと思っていた」という山口の好守がなければ、試合は終わっていたかもしれなかったのだ。

 日本がようやく反撃に転じるのは、このピンチをしのいだ1分後、針谷と伊藤に代えてMF三好康児(北海道コンサドーレ札幌)とMF森島司(サンフレッチェ広島)を2シャドーに送り込んでからである。

 68分、中盤でボールを受けた三好が前を向いてスルーパス。これに抜け出した前田がボックス内で相手に倒されてPKを獲得する。前田自らが決めて3−3の同点に追いついた。

 ファウルを犯した相手DFが退場となり、数的優位を手にした日本は三好、遠藤らがゴールに迫ったが、再逆転はできなかった。こうしてPK戦にもつれ込み、DF中山雄太(柏レイソル)、FW上田綺世(あやせ/法政大)、MF初瀬亮(ガンバ大阪)、三好と4人全員が成功した日本に対し、ベネズエラはふたりが外し、日本が4−1でPK戦に勝利。勝ち点2を手に入れた。

 さて、冒頭の問いだが、もちろん答えはその両方だ。ただ、試合を終えたとき、後者の気持ちのほうが強かった。あれだけ順調にゲームを進めながら、セーフティに終わらせなければならない時間帯でミスを犯して失点。後半開始早々にも同じミスを犯し、その際のDF陣の対応も甘く、「もったいない」という印象が強い。

 チリ戦でも失点した瞬間、チーム全体が気落ちしたようにうかがえた。全体的にそうした世代なのか、今選ばれている選手がそうなのか、それとも、まだチームが立ち上げられたばかりで、鼓舞し、リーダーシップを取ることに遠慮している状態なのか。

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