2018.03.25

ハリルJの哀愁。明るい未来も、
誇れる過去も、帰るべき場所もない

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 現在の日本代表において、DF長友佑都は指折りの経験豊富な選手である。彼が口にしたその言葉は、自戒を込めてあえて強めに言ったというより、何の誇張もない率直な思いそのものだったに違いない。

「今日の試合(内容)では、W杯で勝つのは難しい。(マリには)スピードがあって、いい選手はいたが、(W杯のグループリーグで対戦する)コロンビア、セネガル、ポーランドはレベルが違う。ここで苦戦していては、W杯は苦しくなる」

 本来なら「辛辣(しんらつ)な」と形容されてもおかしくない言葉も、さほど辛(から)さや厳しさを感じないのは、つまりはそういう試合内容だったということだ。客観的に見ても、長友の評価は正鵠(せいこく)を射ている。

 3月23日、日本代表はベルギー・リエージュで、マリ代表との親善試合を行なった。スコアは1-1の引き分け。結果こそドローで終えたものの、W杯開幕まで3カ月を切ったこの時期としては、収穫がほとんどない試合だった。

マリ代表との試合は1-1の引き分けに終わった DFラインを高く保ち、コンパクトな布陣から連動した守備で、できるだけ高い位置でボールを奪う。そんな狙いはいつもどおりだったが、前線からのボールアプローチが緩く、奪いどころが定まらない。結果、マリの選手に易々(やすやす)とボールを前に運ばれてしまった。