森保ジャパン、0-2のスコアでは
伝わらぬ善戦。チリ戦で軽快に連動

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 20分過ぎにはボランチの森島と中山がショートパスを何度も交換しながらチリの選手を動かし、スペースが生じたと見るや一気にスピードアップ。ショートパスをつないで逆サイドに展開し、チリを揺さぶった。

 パスという撒(ま)き餌をちらつかせ、相手を食いつかせて生まれたスペースを攻略する攻撃は、森保監督が狙う形のひとつ。そこにロングボールを交えるなどプレーの判断も的確で、2ヵ月前のU-23アジア選手権とは見違えるほど、ビルドアップがスムーズになった印象だ。

「戦術的な練習は、1回もやっていないんですけどね」

 試合後、森保監督はそう明かした。19日に日本を発って20日に現地入り。その日の夕方に身体を動かし、試合当日の午前中に戦術トレーニングを行なう予定だったが、グラウンドが急遽使用できなくなり、トレーニングを中止せざるを得なかったという。

「イメージを持ってもらうために、これまでの活動のなかからコンセプトの映像を作って見せたり、試合前にマグネットを使って全体的な戦い方の説明をしただけなんです」

 それにもかかわらず、なぜ、スムーズに攻撃をビルドアップできたのか。

「やっぱり、森保さんのやり方について、それぞれが考えてきたからだと思います」と三好は語る。過去2回の活動に参加した選手たちは指揮官から提示されたものを頭のなかで整理し、参加していない選手たちは試合映像を見てイメージを膨らませたのだろう。「すごくよくやってくれたと思います」と指揮官も表情を緩ませた。

 もっとも、こうした連係・連動した攻撃は、60分ごろから次第に薄れてしまう。ただし、これは選手交代による影響が大きかった。

 ハーフタイムに三好、菅に代えてMF伊藤達哉(ハンブルガーSV)、MF遠藤渓太(横浜F・マリノス)を投入。57分には上田、三笘、森島、アピアタウィアに代えてFW前田大然(だいぜん/松本山雅)、FW中村敬斗(G大阪)、MF坂井大将(アルビレックス新潟)、DF立田悠悟(清水エスパルス)を送り出し、一気に4人を変更した。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る