森保一監督がサンフレッチェ退任後に、世界中をまわって見てきたこと (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― 宮澤さんも広島時代のチームメイトですね。

森保 彼は広島を退団したあと、オーストラリアとニュージーランドでプレーして、向こうで指導者になって。宮澤が10年くらい仕事をしているクラブがあって、そこで今は監督兼育成担当をしていて、トップチームは州のリーグで初めてリーグ優勝して、カップ戦でも優勝させたんですよ。

―― 日本人が異国で、監督を任されること自体も簡単なことではないのに。

森保 10年間、彼の育成における仕事が評価され、トップチームも任されるようになって、チームをまとめて結果も出した。その間、本当に苦労したでしょうし、一緒にいて、彼が周りからリスペクトされているのも感じられた。そういうのも含めて、すごく刺激になりましたね。

―― 最後はヨーロッパをまわられたそうですね。

森保 そこも人との縁なんですけど、まずはドイツに行って、(浅野)拓磨を通してお願いしてシュツットガルトの練習と試合を見学させてもらい、次は香川真司に連絡してドルトムントの練習を見せてもらった。今は代わってしまいましたが、(ピーター・)ボスさんのときです。最後はイングランドに行って、吉田麻也にお願いしてサウサンプトンの練習を見せてもらって。

―― ヨーロッパは練習非公開のクラブが多いですから、貴重な経験でしたね。

森保 練習を全部見せていただいて、本当に刺激になりましたけど、彼らとプライベートで話せたことも大事な時間になりました。僕が知っている彼らではないんです。たくましくなっているし、強くなっている。これもまた刺激になって。

 海外に行って、その国の人に認めてもらうのは並大抵のことじゃないですよね。コミュニケーションが取れなければ認めてもらえないし、その国の文化や習慣に順応しなければ、サッカーでも結果を残せないと思う。彼らはそういうところをクリアして、認められているのがすごい。将来、彼らのような選手が僕の率いるチームでプレーすることもあるかもしれない。そう考えたら、自分ももっと成長して、強くなっておかないといけないな、って感じさせてもらいましたね。

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