ハリルの代表メンバー発表に思う。残り3カ月で、まだ試行錯誤なのか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 井手口は4-3-3のインサイドハーフでもプレーするので、守備的MFとは言い切れないが、そこはチームのヘソだ。所属クラブではディフェンダーとしてプレーする長谷部が、どこまでできるかも謎だ。スタメンで起用されることが多い山口蛍(セレッソ大阪)にも、所属チームでのプレーを見る限り不安は残る。中心選手らしさに欠ける。

 チームはここが固まらなければぐらつく。というわけで、チーム最年少ながら、三竿にかかる期待は大きい。Jリーグでいま最も注目に値する選手を1人挙げよと言われれば、この選手をおいて他にはいない。クレバーで、落ち着きがあり、身体も井手口、山口より2サイズ大きい。ボール奪取能力も高い。

 とはいえ、だ。今回の欧州遠征が終われば、残るは5月末の壮行試合と、ロシアに向かう途中で行なわれる準備試合のみだ。9合目を越えた段階にさしかかっているにもかかわらず、ハリルホジッチはテストを続けている。つまり、依然、試行錯誤の状態にある。中心選手の顔さえ見えてこない。

 こうした低迷状態からV字回復を果たし、本大会でベスト16入りしたのは2010年南アフリカW杯に臨んだ岡田ジャパンだ。救世主となったのは本田だったが、現在のメンバーを見渡す限り、8年後の本田はいても、8年前の本田はいない。目先の勝利を求めるあまり、ロシアW杯本大会から逆算して考えることができなかった監督の計画性のなさが、今回のメンバー発表で改めて露呈した気がする。

 ここまで順調にはきていないという自覚が、ハリルホジッチにはあるのか。8年前の岡田武史監督にはそれがあった。このままではマズいという危機感が、岡田監督の起爆剤になっていた。相変わらず会見場で居丈高(いたけだか)に振る舞うハリルホジッチの姿を見ていると、心配は募るばかりだ。

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