ハリルの代表メンバー発表に思う。残り3カ月で、まだ試行錯誤なのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 原口、宇佐美が所属するのはブンデスリーガ2部。チームは現在、そこで首位を走るが、乾が所属するエイバル(スペインリーグ9位)とは格が違う。出場時間も、乾が2161分出場しているのに対し、宇佐美は793分、原口は今季前半のヘルタ在籍時を加えても519分にしかならない。しかも乾はこの状態をほぼ3年間、維持している。

 これはハリルホジッチが、批判されることを承知のうえで下した強引な選択といっていい。メディアは、突っ込みを入れることがそのあるべき姿だろう。

 今回、乾と並んで落選が話題になったのは井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)だ。ハリルホジッチは所属チームで満足にプレーできていないことを落選の理由に挙げたが、年末の東アジアE-1選手権では3試合すべてに出場。昌子源(鹿島)、小林悠(川崎F)に次ぐ出場時間を記録した。わずか3カ月前の話だ。

 事件といえば事件だが、想像が及ばない話ではなかった。井手口は高い身体能力が取り沙汰されるなかで、雑なプレーが目についたからだ。

 11月のブラジル戦では、そのクリアミスからマルセロに手痛い一発を浴びている。前述の韓国戦でも、似たようなプレーを見せている。見る人が変われば、評価が変わる選手なのだ。したがって、スペインの2部チームで満足な出場機会が与えられていない現状に、大きな驚きはない。

 ハリルホジッチにも見えていたと思う。井手口は韓国戦の後半21分、三竿健斗(鹿島)と交代でピッチを退いているが、それはプレーの状態がよくない選手を下げる、一般的な交代そのものに見えた。このときの好ましくないイメージが、ハリルホジッチの中に強く残っているのではないか。

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