ハリルの代表メンバー発表に思う。残り3カ月で、まだ試行錯誤なのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 本田といえば、まずその俺様的なキャラに目がいくが、今回の招集でセールスポイントになったのは、左利きという特殊性ではないだろうか。

 プレースタイルは伊東とは対照的だ。縦への推進力は期待できないが、キープ力はある。全盛時に比べると衰えたとはいえ、右サイドで起点になる力がある。右ウイングに左利きを置くことで生まれる独特の安定感に、期待が抱けるのだ。

 これは、伊東はもとより久保、浅野にもない魅力だ。本田が彼ら同様、右利きの選手だったら、呼ばれていなかった可能性は大いにある。復活劇はなかった可能性が高いのだ。

 とはいえ、メンバー発表会見でのハリルホジッチの本田評は、けっして高そうには聞こえなかった。ニュアンスから察すれば、テストだ。チャンスを与えたという印象。最終メンバーに残る確率は、ハリルホジッチから「ピッチ外でも不可欠な人材」と評された長谷部誠(フランクフルト)とは比較にならない。

 中島翔哉は所属クラブでは通常、左を担当するが、「右も真ん中もできそうだ」とハリルホジッチに言わしめた。弱点である右の補強も兼ねた人選と言ってもいい。原口元気(デュッセルドルフ)より多機能的。使い勝手がいい選手だ。実力で並べば、1箇所しかできない選手より最終メンバーに残る可能性がある。

 一方、乾貴士(エイバル)が選外に漏れたのは、大きな驚きだった。しかし、これまでの使われ方を見れば、当然という気もする。ハリルホジッチから好かれていない。原口、宇佐美貴史(デュッセルドルフ)は対照的に好かれている。好き嫌いが判断の基準になっている。そう言いたくなるほど、これは非常識な判断になる。

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