なでしこ、最終戦を0封負け。この攻撃力でアジアカップを戦えるのか (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 好機を作る崩しがほぼ"0"という状態は、何より指揮官に少なからぬショックを与えていた。

「ゴール前に入っていくシーンを作り出せなかったことが一番悔しい」

 枠を捉えたシュートはわずか4本。終了間際に得たPKすら決めることができなかった。日本のファーストタッチが少しでもブレれば、チャンスとばかりに2タッチ目で奪われる。それらは本来、日本がしなければならないプレーだ。日本は逆襲のタイミングを掴むことなく、封じられてしまった。

 守備に関しては、主軸となる戦い方は共有することができていた。これは、この2年間で最大の収穫といっていい。5位以上に入らなければワールドカップ出場権が得られない4月のアジアカップでは、人数を割いて厳重な守備で失点を防ぎにくる相手か、パスミスを誘う強烈なプレスをかけてくる相手か、ほぼ2択だ。

 現状、「日本らしいサッカーでリズムを作る」以外の有効策は見えていない。高倉監督は攻撃色を豊かにするために多くの時間を割いてきた。力の劣る相手にはその力を存分に発揮することができるが、世界大会ではそれほど簡単な相手に恵まれることはない。

「今までは久美(横山)の技術とか、ぶっちー(岩渕)のドリブルだったり、ミナ(田中)のターンだったり、個の力で点を取ってきたところもある。そこが引っかかり始めたり、マークがつき始めたりすると次の術(すべ)がない......」と攻撃の起点となる阪口は話す。個を封じられ、コンビがハマらなくなったときの打開策として、そろそろセットプレーにも着手したいところだ。

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