強豪デンマークに快勝。乱高下する「なでしこ」は強いのか、弱いのか (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text by Hayakusa Noriko

 初戦から岩渕&横山のコンビプレーは頻度が上がり、さらに長谷川が随所に顔を出すことで、テンポが生まれる。横山と長谷川で裏を狙い、中島はボランチからの縦パスを引き出す。左サイドバックの鮫島彩(INAC神戸)が一気に駆け上がり、鋭いクロスを供給すれば、負けじと右サイドバックの清水梨紗(日テレ・ベレーザ)がフィニッシュに絡む上がりを見せる。

 バリエーションは確実に広がっていた。だが、それでもゴールが遠い。狙い続けた先制点は83分まで待たねばならなかった。阪口からのパスを受けた横山が強烈なシュートを放つ。ここで決めたいところだが、GKにまたしても弾かれてしまう。それをDFがクリアし損じたボールに詰めたのが長谷川だった。

「走り込んだら思ったところにボールが来なくて、真上だった。足を伸ばして......あとはどうなったか覚えてない(笑)」(長谷川)と、彼女の美学からは少し遠い、崩れながらのゴールだったが、その表情は柔らかかった。

 その長谷川も昨年は焦燥感を抱えていた。

「そろそろ攻撃も形が見えてこないとダメ」

 個での崩しはあっても、単純な攻撃の繰り返し。長谷川はもともとパスを駆使した崩しが得意で、イメージも持っている。しかし、それを共有できる環境は作り出せていなかった。

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