6失点惨敗で「なでしこ崩壊の危機」に、
ベテラン2人が立ち上がった

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 試合中に大きな展開をつくる彼女からのロングフィードは、まさに宇津木そのものだった。自分の殻を打ち破るために海外へ渡り、展開力に磨きをかけた。周りのスピードを生かすため、必然的にパススピードは上がり飛距離も伸びた。この日も時折強引なまでに逆サイドの奥を突くパスを送る。相手に、そして何より味方に「ここも使うぞ!」という強烈なメッセージが伝わってくるフィードの数々だった。

 もちろん、格下であるアイスランドに対し、30本近いシュートを浴びせながらも2得点にとどまったことは褒められたことではない。攻撃に偏りが生じがちなところや、フィニッシュの精度など突っ込みどころは数多(あまた)ある。ただ、多くのものを背負って戦ったこの試合だけは結果を評価したい。

 第3戦はヨーロッパ2位のデンマーク。アイスランドほど自由にプレーはさせてもらえるはずもない。まだ固まったばかりのサッカーの強度はどんなものか。これから、なでしこたちが歩む道が示される試合になるだろう。

◆6失点って、マジか? なでしこジャパンの守備崩壊を食い止めるには

◆新生なでしこで、宇津木瑠美が願うこと。「もう一度、あの熱い思いを」

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