6失点惨敗で「なでしこ崩壊の危機」に、ベテラン2人が立ち上がった (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ところが圧倒的に攻め込んでいた日本が一瞬沈黙したのが、74分のセットプレーからの失点だった。ゴール前の混戦から、こぼれ出たボールを決められてしまう。

 ドローで終わっては意味がない日本。最後に試合を決めたのはベテランの宇津木だった。

 途中出場の中島依美(INAC神戸)と長谷川唯(日テレ・ベレーザ)のショートコーナーからの展開は練習通り。そのクロスに宇津木は相手DF2人に挟まれた状態で崩れながらも、頭で押し込んだ。

 宇津木が、「ああいうゴールで勝ってきた試合もたくさんある。キレイなゴールでなくても1点は1点だっていう気持ちをなでしこの選手たちが忘れたら得点は遠くなると思います」と話すように、"なでしこらしい"泥臭さ満載のゴールは、今のなでしこジャパンに必要なものだ。

 宇津木にとっても、想いのこもった90分だった。ずっと日の丸を背負う意味を問い続けてきた。16歳からなでしこ入りし、彼女の成長はなでしこジャパンとともにあったと言ってもいい。だからこそ、伝えなければいけないこともある。

「1得点や1失点っていう勝負にこだわれなくなってしまったら、もっと見えなくなってしまうこともあるんじゃないかなって。今までのなでしこの選手たちが培ってきたものを出さなきゃいけないなっていうのが一番にあった」

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