6失点って、マジか? なでしこジャパンの守備崩壊を食い止めるには (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「1点目、2点目で自分のクリアミスや裏をとられて失点してしまって、相手を勢いに乗せてしまったのが一番の反省点」と肩を落とす市瀬。それでも共通の意識を持った守備が張れるようになった後半は、積極的に攻撃の芽を摘み取りに上がっていく、市瀬本来の予測能力も復活していた。世界レベルの"怖さ"を知るのも守備陣としては必須である。

 これだけの差を見せつけたオランダは、昨年のアルガルベカップ順位決定戦(●2-3)で競り負けた相手。昨年6月にも対戦し(〇1-0)、お互いの手の内はある程度把握している中での対決だった。

 オランダはその後ヨーロッパを制し、チャンピオンとしての自信をつけていた。この試合で2得点を挙げたマルテンスはバロンドール(FIFA女子最優秀選手)を獲得している。かつてのなでしこジャパンにあったような上昇気流を掴み、勢いに乗っているオランダと、2年間の上積みを形にしきれない日本。このコントラストが、スコアに如実に反映された。これが世界における日本の現状だ。

 では、日本の現状はゼロなのか――。答えは否だ。サンドバック状態の前半でも、鮫島彩(INAC神戸)のオーバーラップは秀逸であったし、中島依美(INAC神戸)のゴールを生んだ長谷川唯(日テレ・ベレーザ)との連係も冴えていた。

 後半、長谷川のヒールパスを受けた鮫島のラストパスに反応した田中美南(日テレ・ベレーザ)のシュートまでの流れは、ずっと見たかった"なでしこジャパン"の攻撃だった。明らかな劣勢の中にあっても、守備一辺倒になることなく、攻撃に打って出る姿勢は、高倉麻子監督がここまで貫いてきたものでもある。

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