田中陽子ほか、元ヤングなでしこが、代表に返り咲く一歩を踏み出した

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 なでしこジャパンを強化する一方で、その予備軍の底上げも欠かせない。

 4年ぶりに復活した合宿"なでしこチャレンジ"では、U-23カテゴリーより上の年代で、招集される機会が激減してしまう選手層にもスポットが当てられた。集められたメンバーには、所属チームで核になる選手や、これからの見込みがありそうなフレッシュな選手、その中にはかつてアンダーカテゴリーで世界と互角に戦った選手の名前も多くあった。

チャレンジ合宿に参加した成宮唯(左)と田中陽子(右)チャレンジ合宿に参加した成宮唯(左)と田中陽子(右) そのひとりが、田中陽子(24歳・ノジマステラ相模原)だ。U-17世代から代表の常連で、将来を有望視されてきた。だが、2013年のなでしこジャパンに初招集されるも、なでしこの組織的なサッカーの中で居場所を作ることができなかった。

 ノジマでは、確かな技術と攻撃センスを武器にチームに貢献。昨シーズンは、最後のタイトル争いとなる皇后杯で、惜しくも敗れはしたものの、チーム初となる決勝進出を果たしている。今回はその活躍が認められての招集となった。

 中身の詰まったトレーニングで、彼女はあるテーマを見つけた。

「相手の逆を取るっていうのは、相手が食いついてきてくれたらできるけど、(状況が)落ち着いているときに自分から仕掛けるというのが難しくて、できている気がしないんです(苦笑)」

 チームでは前に前にとボールを動かすサッカーに身を置く。しかし、なでしこチャレンジで男子高校生とトレーニングマッチをした際、全く前にボールを運ぶことができなかった。

「あえて"止まる"というか。でもタイミングが悪いと相手も止まってしまう。そのタイミングが難しい......」

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