なでしこへ這い上がる。異色の27歳コンビがチャレンジ合宿でガツガツ (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 DFは試合経験がモノを言う。出場機会を求めてジュニアユース時代を過ごした浦和からジェフ千葉への移籍を決めたのは入団から3シーズン目を迎えるタイミング。先を見越した早い時期での決断だった。

 目論見通り、センターバックとして経験を重ねていき、持ち前の対人の強さを磨く一方で、味方の動かし方、ラインの統率など、一つひとつ引き出しを広げてきた7年間だった。そして今回、ようやく待ち望んでいた"なでしこジャパン"に触れるチャンスがやってきた。ミニゲームであっても、強烈なコンタクトプレーに、体を投げ出してのスライディングなど、常に全力プレーで挑み続けた。

 髙瀬と櫻本には2人で話し合って決めたことがある。それは積極的なコミュニケーションだ。こういった場が初めての選手も多いなかで、2人はピッチ内外であらゆる選手に話しかけ、雰囲気作りに励んだ。それは単なるアピールではなく、自分自身のためだと櫻本は言う。

「コミュニケーションを取ることで雰囲気が良くなればトレーニングの質は必ず上がる」

"お客さん"になりがちな選手が多くなると、モチベーションのズレはトレーニングに影響を及ぼす。髙瀬と櫻本はそれを嫌った。なぜなら、「これがラストチャンスだと思っている」(櫻本)からだ。なでしこ見学会ではなく、「私は(なでしこのポジションを)奪いに来ている」と櫻本は言い切った。この2人の影響はチーム全体に及んだ。

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