お手本はレバンドフスキ。森保ジャパン田川亨介、ポストプレーを磨く (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 若い選手、とりわけストライカーは、経験に裏打ちされた自信を膨らませることで大きく化けることがある。

 昨年5月、U-20ワールドカップに出場したとき、田川はJ1のピッチに6試合しか立っていなかった。そのすべてが途中出場によるものだった。

 3月5日の川崎フロンターレ戦でプロデビューを飾り、4月8日のアルビレックス新潟戦でプロ初ゴールを決めた。その勢いを買われて抜擢された、ワールドカップのメンバーだった。

 川崎F戦のあと「めちゃ楽しかった」と初々しい笑顔をのぞかせ、「今年、5点が目標です」と無邪気に語った高卒ルーキーはそのころ、いい意味で、怖いもの知らずだった。

 しかし一方で、世界の舞台で臆(おく)せず自分のプレーを出すために必要なもの――経験に裏打ちされた自信が、田川にはまだなかった。

「ワールドカップのときは縮こまってやっていましたね。慣れない環境で、自分を出せないところがあったし、上の(年齢の)人たちに任せている部分もあった」

 だが、失意のワールドカップから帰国すると、それまで1試合もなかった先発出場の機会が少しずつ増えていく。ピッチに立つ時間が長くなるにつれ、平常心で試合に臨めるようになり、それが武器であるドリブル突破を仕掛ける勇気を生んだ。

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