森保ジャパン2連勝も、まだサンフレッチェ全盛期に及ばぬ部分は何か (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 だが、この試合は「強引にいっても勝てる相手」(遠藤)だったからよかったが、本来なら力任せではなく、もっと相手DFラインにギャップを作り出す、すなわち、深さを作り出すような攻撃を仕掛けたかった。

 そのためには、まずは3バックがもっと自分たちでボールを動かし、ボランチに頼らずに攻撃の起点となること。そして、1トップ2シャドーが高い位置で前後の出入りをし、一発で相手の背後を狙う動きも見せておく必要があるだろう。確かにパスはよくつながったが、中盤頼みの単調なパスワークに終始した感は否めない。

 とはいえ、初めて同じチームでプレーする選手がほとんどで、しかも、わずか1週間あまりの準備期間で臨んでいる大会である。選手たちはよく戦っているというのが、全般的な印象だ。

 初戦のパレスチナ戦と比べても、明らかに攻守両面で連係はよくなっており、選手たちの戦術理解が進んでいる様子はうかがえる。粘り強く攻め続けただけでなく、どうしても得点がほしい試合展開でも守備意識は切らさず、相手のカウンターをほぼ完璧に封じたことの価値は高い。

 森保監督も「初戦より多くのチャンス作れたのは、チームとしてベースアップしたというところを選手が見せてくれたから」と言い、満足そうにこう語る。

「相手がどういう戦いを仕掛けてくるかは、もちろん試合前に想定して準備はするが、今日のようにそうでないことは多々ある。選手たちは落ち着いて相手の出方を見ながら、自分たちがどうやったら力を出せるかを実践してくれた。途中、たくさん(相手選手が痛んで)試合が切れて、集中力を失いそうになったときでも、選手はピッチ内で声を掛け合い、続けてプレーしてくれたことが最後の得点にもつながったと思う」

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