福田正博が日韓戦後に覚えた違和感。
ハリルと協会に温度差はないか

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 実際、CBの植田直通を右SBで起用したり、34歳の今野泰幸を3試合連続で使ったりするなど、さまざまなテストを行なっていた。もちろん、選手たちが思ったようなパフォーマンスを発揮できずに敗れたことは残念だし、今後の強化に向けてテストの内容に言及するなら理解できる。

 しかし、試合後に選手たちを「不甲斐ない」と切り捨てるくらい勝敗を重視していたのなら、「日韓戦は特別な試合だから、何がなんでも勝ちにいってほしい」と、事前にハリルホジッチ監督に伝えるべきだったと思う。あるいは、もし伝えていたとしたら、あの采配に対して何か言うべきではないかとも思う。

 我々の世代にとって、日韓戦は特別な思い入れのある試合だ。そもそも、韓国に対して互角以上に戦うことができるようになったのは、1992年に外国人初の日本代表監督としてハンス・オフト氏が就任してからだ。それ以前は、1985年のメキシコW杯アジア予選を含めて7年間で6連敗を喫するなど、日本は韓国にまったく歯が立たなかった。

 私も、1992年以前の日本代表に招集された経験があるが、当時の指導方法は、走り勝つことや1対1での奪い合いという、韓国代表のストロングポイントで上回ることを求められた。しかし、オフト監督が就任してからは、「韓国代表と同じ土俵に立たなくてもいい」と教えられた。日本サッカーの特長である技術力やアジリティ(敏捷性)を活かせるフォーメーションや戦術、戦略を模索した結果、韓国代表にも勝てるようになったのだ。

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