北朝鮮に完敗。CB鮫島彩の「問題提起」が示す、なでしこの改善策 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真  text&photo by hayakusa Noriko

 パスカットから一気に前線へ運ばれ、一度はクリアするも、注意していたはずのキム・ユンミにこぼれ球を決められてしまう。ゴール前の人数は足りていても、効いていない。逆に北朝鮮は日本の穴をしっかりと見極めていた。2失点目は82分。右サイドの高木が振り切られてクロスを入れられると、中央のキム・ユンミから最後は逆サイドへ走り込んでいたリ・ヒャンシムに決められた。このゴールで勝負は決してしまった。

 "うまくても怖くない"――ここまでの日本の攻撃の印象だ。今大会でコンビネーションに変化を見ることもできたが、相手が北朝鮮レベルにまで上がると途端に元に戻ってしまった。ミスからの失点が多かった2試合を考慮し、ベースを固める作戦まではよかったが、北朝鮮の堅守をまったく揺るがすことができなかったのは、やはりアイデアと連係の不足感がぬぐえない。

 ある程度、2トップが囲まれることは予測できたはずだ。自陣での守備に引きずられたことを差し引いても、二の手三の手が必要だった。守備のリズムが確立され、なおかつボランチに入った隅田凛(日テレ・ベレーザ)が懸命の攻守で北朝鮮の中盤と対抗していた時間帯に、阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)を攻撃のサポートに上げて、両サイドとのコンビネーションプレーなどが生まれれば、また違った展開も見られたかもしれない。

 この大会で日本の守備を牽引したのは間違いなく鮫島だ。本来、左SBが本職だが、なでしこジャパンでは複数のポジションを担うことを求められる。その中でまさかのCBとして最終ラインをまとめ上げたことには"ベテランだから"の一言でくくるにはあまりある努力があった。

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