北朝鮮に完敗。CB鮫島彩の「問題提起」が示す、なでしこの改善策

  • 早草紀子●取材・文・写真  text&photo by hayakusa Noriko

 完敗だった。EAFF E-1選手権の優勝をかけて北朝鮮と戦ったなでしこジャパンは、後半に2発を浴び、一矢報いることすらできず0-2で惨敗。北朝鮮に大会3連覇を許した。

 それでも前半は予想以上の戦いとなった。もとよりスピード、テクニック、スタミナを兼ね備えた北朝鮮の2トップを含む、攻撃陣に攻め込まれるのは覚悟の上だった。特にキム・ユンミはそこに高さも加わる脅威の存在だった。

本職ではないセンターバックで、仕事を果たした鮫島彩本職ではないセンターバックで、仕事を果たした鮫島彩 そんな北朝鮮に、トップスピードで裏を取られては勝負にならない。そこで日本は北朝鮮の右サイドハーフのリ・ヒャンシムが駆け上がろうとするところを、左サイドバック(SB)に入った宇津木瑠美(シアトル)が躊躇なくプレッシングで対抗し、裏へと流れたボールをセンターバック(CB)の鮫島彩(INAC神戸)がキム・ユンミに触れさせずに回避する。役割を徹底させたこと、その役割を必ずこなせるという信頼のもと、前半はキム・ユンミを沈黙させることに成功した。

 攻撃では、右SBに入った高木ひかり(ノジマステラ)が積極的に前線へボールをつける。11分には櫨(はじ)まどか(伊賀FC)への縦パスを通し、好機を生んだ。ただ、このラインまではボールをつなぐことができるものの、敵陣は固く、そこから先への侵入がかなわない。岩渕真奈(INAC神戸)、田中美南(日テレ・ベレーザ)の2トップが足元にボールをおさめようとするや否や、瞬時に囲まれてしまう。両トップもなんとかシュートに持ち込んでリズムを引き寄せようとするが、結局前半は田中のシュート1本にとどまった。

 後半になると、トップの自由が利かない状況が変わりそうにないことを確認した高倉麻子監督は62分、岩渕に代えて今大会当たっている中島依美(INAC神戸)を送り出す。しかしその3分後、先制点を奪ったのは北朝鮮だった。

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