「ハリルに言われた以上」の働きぶり。小林悠、ロシア行き当確か?

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 上司の指示を忠実にこなすのは、日本人の美徳であり、長所でもあるのだろう。一方で、言われたことしかできない人間が、何かを生み出すことは不可能だ。とりわけ、創造性の高いスポーツであるサッカーにおいては、それが如実に浮き彫りとなる。

中国戦で待望の代表初ゴールを決めた小林悠中国戦で待望の代表初ゴールを決めた小林悠 監督の求めるものをこなすのはもちろん、そのうえで自らの判断が重要となる。常に状況が変わるなかで、いかに頭を働かせて、そのアイデアを具現化していくのか――。それこそがサッカーの醍醐味であり、本質でもあるはずだ。

 中国と対戦した日本は、その意味で実に日本人らしいチームだったと言える。

「1試合目にはなかった背後の動きをより強く要求した」

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、そう求めていたという。そして選手たちは忠実に、そのプレーを実践した。

 長めのボールをラインの裏に送り込み、まるで駆けっこのように相手DFと走り合う。シンプルと言えば聞こえはいいが、アバウトな攻撃を繰り返すのみでは、ゴールの予感が漂わないのも当然だった。

 その戦術のある種、"被害者"とも言えたのが1トップに入ったFW小林悠(川崎フロンターレ)だった。ひたすらスペースに走り、取れる可能性の低いボールを追いかけ続ける心境は、果たしていかなるものだったのか。それでも、限られたチャンスのなかで何度かフィニッシュに持ち込んだのは、今季のJリーグ得点王の意地なのだろう。

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