中国も一蹴した、なでしこジャパン。ただし、新システムはドタバタ (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 逆に「危ないエリアでプレーさせない」という中国の狙いが攻守にハマってしまった。その原因は皮肉にも4-1-4-1システムによるところが大きかったように思う。そもそも阪口、猶本、隅田の3人が中盤で揃う機会はこれまでなかった。コンビからトリオへの移行は簡単ではない。

「前の2人をうまく動かさないといけなかったけど、うまくいかなかった」とは隅田。彼女の左右のスペースは両サイドとボランチとの連係なくしては埋めることはできない。守備に大きな課題を抱えている、今大会の両サイドバックのスペースと合わせて考えれば、その危険エリアはさらに広がる。中国はそこを徹底的に突いてきた。それでも隅田は食らいついていた。右サイドにカバーに入ったかと思えば、次の瞬間には左サイドで事が起こっている。ど真ん中を切り裂かれることもあった。

「とっさに判断しなければならないことが本当に多かった」と反省しきりの隅田は、まだ身体も成長段階にある21歳。ユース世代からボランチでのプレーを目指し、そのために国際大会でも負けないコンタクトスキルを意識してきた隅田だったが、壁は高かった。けれど、中国選手に競り負けることがあっても最後まで足を伸ばして、少しでも相手の軸をブレさせて、ボールの軌道が逸れるよう最後の一瞬まで食らいついていた。この努力を怠らなければ、届く距離が数センチずつ必ず伸びてくる。隅田はここからが勝負どころだ。

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