ハリルは北朝鮮の監督に向いている。
日本と相性の悪いサッカー観が露呈

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 深々とした川又堅碁の折り返しを、今野泰幸が頭で落とし、井手口陽介がゲット。日本に決勝ゴールが生まれたのは93分だった。2時間枠のサスペンスドラマでも、犯人がわかるのはもう少し手前だ。日本の勝利はまさしく劇的。ドラマをしのぐドラマ仕立てだった。

後半ロスタイム、井手口陽介のゴールで何とか北朝鮮を振り切った日本後半ロスタイム、井手口陽介のゴールで何とか北朝鮮を振り切った日本 しかし、その割に試合は退屈だった。テレビ画面に、試合の最初から最後まで真剣に目を凝らしていた人は、どれほどいただろうか。内容、展開、ストーリー性に酔いしれた人はいたのだろうか。

 味の素スタジアムに集まった観衆は2万806人だった。12月に行なわれた季節外れのナイターで、相手は少なくともサッカー的には訴求力の低い北朝鮮。日本のメンバー構成も、事実上の「Jリーグ選抜」であるとはいえ、この数字はいささか寂しすぎる。しかし、振り返れば、国内で行なわれた前戦、ハイチ戦(10月・日産横浜国際)のスタンドも、3分の2程度の入り(4万7420人)にとどまった。ハリルジャパンの不入りは、ここに来て鮮明になっている。

 考えられる理由はひとつ。魅力のなさに尽きる。サッカーそのものが面白くない。ハリルジャパン以前の日本代表も、問題点は多々あった。注文をつけたくなる箇所は山のようにあったが、いま振り返れば、現在より面白かった。

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