韓国を撃破した、なでしこジャパン。意味ある失敗でチームは強くなる (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 2失点に関しては、フレッシュさの代償とも言える形だったが、原因が明確な失点だったことが救いだ。日頃FWを務める大矢は、背後の守備意識の概念を覆されたことだろう。三宅は積極的に奪うポイントの限界点を体感したはずだ。万屋も攻撃参加のタイミングと守備のバランスを会得中であるし、鮫島も自身のスピードと三宅の高さを生かす守り方を模索している。それらを経験値の高い阪口、宇津木瑠美(シアトル・レインFC)のボランチコンビがケアしていたわけだが、この2人にしてもコンビを組むのは久しぶりのことだ。これらを差し引けば多少のバタつきは致し方ないのかもしれない。

 一貫していたのは、"中途半端なことはしない"ということだった。不用意なミスはいただけないが、勇気ある失敗はあってしかるべき。失敗は狙いがあってこそ生まれるもの。プレーを中途半端にしては狙いが見えない。それはすなわち対策も立てられずチームの方向性がボヤけることに直結する。韓国戦は凡ミスで肩を落とすことも多かったが、これまでよりも多くの"失敗"があちらこちらにあった。これはこの後の2戦に大いに役立つはずだ。

 アジアとのギリギリの戦いの中で、多少でもようやくチームらしさ出せるようになってきた。次の中国戦は新たな布陣で臨むことになるだろう。そこにも可能性の欠片(かけら)が散らばっているはずだ。

◆ロシアW杯、過去データから日本の16強入りに希望が見えてきた>>

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