2017.12.09

韓国を撃破した、なでしこジャパン。
意味ある失敗でチームは強くなる

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 試合は、これまで時間を要していた先制点を早々に奪ったものの、すぐに失点という、思わぬ展開で進んだ。素早い寄せと粘りの守備を見せる韓国にバタつき、阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)があちらこちらに顔を出しながらボールを落ち着かせようとしていた前半。その中で冷静に相手を見切っていた選手がいた。田中だ。おそらく、高倉監督がここまでに最もチャンスを与えた選手だろう。しかし、これまで期待に沿える活躍ができなかった試合の方が多かった。

 決定機を外し、チームの勝利を悔し涙で相殺してしまうこともあった。そんな田中がこの日は違った。もちろん彼女の先制ゴールはチームに活気を与えるものだったが、何より違っていたのはそのファーストタッチ。雨の中のスリッピーなピッチ上で、見事にコントロールしていた。ファーストタッチで衝撃を吸収し、ロスなく逆足で相手をかわす――田中のイメージそのままがプレーに現れていた。

 ヨーロッパ勢との対戦ではどうしてもうまく収まらず、ボールを失ってしまう。タイミングなど特に変えてはいなかったという田中。そうであればアジアの間合いは田中向きということだ。感覚を掴んだ田中は、ボランチと相手DFの間で貪欲にボールを要求した。「今日の相手はなぜか当たりが"強い"とは感じなかった。楽しかったです」(田中)