「無風」とナメられたH組で日本がポーランドに番狂わせを起こすには (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 逆に言うと、ハリルジャパンは、ポーランドにとって嫌なサッカーを仕掛けてくるチームには映らない。同じタイプなら力勝負でやられる。日本がデュエルをいかに鍛えても、ポーランドにガチンコ勝負を挑んでは勝ち目がない。相手の力をいかにして削ぐか。かわし、いなすか。日本に求められているコンセプトは、まさに「柔よく剛を制す」の精神だと思う。

 先述の通り、ザックジャパンはボール支配率の高い、パスワーク重視のサッカーでブラジルW杯に臨み、グループリーグ最下位に沈んだ。コロンビアに1-4の大敗を喫し、大会を後にしたが、整備すべき箇所はハッキリと見えていた。そこを正せば、勝てたかどうかは別にして、より可能性を感じるサッカーができたと確信する。

 ポーランド戦に必要なのは、そのザックジャパン的な要素だ。アギーレジャパン的と言ってもいい。えてして硬質なチームは、巧さに弱い。縦への速さもいいが、それ以上にほしいのは巧さ。どこまで通じるか保証の限りではないが、対抗策はそれしかない。番狂わせを企てる術(すべ)は、これを機に見直した方がいい。ハリルジャパンには変化を期待したい。

 ちなみに英国の大手ブックメーカー、ウィリアムヒル社の予想によれば、H組の首位予想は、コロンビア(2.37倍)、ポーランド(2.5倍)、セネガル(6倍)、日本(9倍)の順となっている。また突破予想は、コロンビア(1.36倍)、ポーランド(1.53倍)、日本(2.37倍)、セネガル(3.5倍)の順。優勝予想では日本は、オーストラリア、コスタリカ、エジプト、アイスランドとともに22位タイにランクされている。

 コロンビア、そして特にポーランド相手に、いかにして番狂わせを起こすか。この方法論の探求こそが、いま日本に課せられている唯一にして最大のテーマなのである。

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