ヨルダン戦で2ゴール。なでしこ
岩渕真奈はもうスーパーサブじゃない

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 センターバックは熊谷紗希(リヨン)と三宅史織(INAC神戸)、右サイドバックに大矢歩(愛媛FC)、左サイドバックに万屋美穂(ベガルタ仙台L)と、最終ラインは成長を促したい人員中心の配置となった。2列目は、ボランチの阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)の相棒に猶本光(浦和レッズL)。右に中島依美(INAC神戸)、長谷川唯(日テレ・ベレーザ)。トップには櫨(はじ)まどか(伊賀FC)と、試合直前に横山久美(フランクフルト)に代わって急遽起用となった岩渕真奈(INAC神戸)が入った。

 まず、自陣に腰を据えるヨルダンをなんとかはがそうと、ポジションを自在に変えながら選手たちが動く。機動性に富んだ中島、長谷川らが中央へ動けば、櫨もサイドやトップ下へ流れ、阪口はあえて深めにポジションを落として相手を引き出そうとする。そこには通り一辺倒な攻撃にはしないという意識を感じ取ることができた。余裕のある最終ラインも積極的に攻撃参加する。特に熊谷は前線へのロングフィードを狙っていて、そのひとつが実を結ぶ。

 26分、熊谷の蹴り出したボールは、DF裏を伺う岩渕の足元にピタリとおさまった。得意のターンで相手DFを置き去りにすると、左足を振り抜いた岩渕らしいゴールを決めた。さらにその4分後、再び岩渕がゴールネットを揺らす。2列目まで落ちていた岩渕が、逆に位置を上げていた阪口へパス入れ、阪口は体勢を崩しながら懸命に足を伸ばして岩渕へ戻す。そのボールを岩渕が今度は右足でしっかりと決めた。「2点目は"崩した"実感があった」と本人も語るように、待望のリズムあるワンタッチパス絡みのコンビネーションゴールだった。

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