2017.11.17

加茂更迭から歓喜の瞬間まで。
山口素弘が語るW杯予選「特殊な2カ月」

  • 渡辺達也●取材・文 text by Watanabe Tatsuya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「どうだろう、そこまで落ち込んだ雰囲気はなかったと思います。相手に追いつかれての引き分けだったら、ショックは大きかったかもしれないけど、こちらが追いついての引き分けでしたから。それも、後半44分という土壇場で、井原さんが自陣の深いところから思い切り蹴ったボールを、呂比須(ワグナー)が相手とちょっと競り合ったら入っちゃった。みんなはどう思っていたかは知らないけど、アウェーで2分け。負けなかったわけだし、僕自身は『いい流れじゃん』『まだ、これから何か起こるんじゃないか』と思っていました」

――ただ、日本に戻ってからのUAE戦も1-1で引き分けてしまいました。試合後には暴動も起きて、翌日のスポーツ紙では「W杯絶望」という文字が躍りました。

「あの引き分けは、さすがに......厳しかったですね。ただ、開き直ったわけではないですけど、まずは自分たち個々の思いを大事にしよう、という話をみんなでしました。周囲からのプレッシャーというか、『W杯に行かなければいけない』とか『日本サッカーのために』とか、いろいろと背負うものもあるけど、誰がW杯に行きたいのかって言ったら『一番は俺たちだよな』って。周りが何と言おうと、大事なのはそこ。まずは『自分のために』『自分たちの夢や目標を叶えよう』という気持ちを強くしていった。

 また、僕は当時、3バックは間延びするのであまり好きではなかったんですが、UAE戦から4バックにしたんですよ。それで、選手の距離も近くなって、コンパクトに戦えるようになった。日本らしさが出始めて、いい感触を得ていました」