ハリルJに「プランB」はあるのか。ベルギー戦は苦しい展開を見たい (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 精神的なダメージもあったのだろう。序盤の勢いを完全に失い、攻守のトランジションが明らかに鈍くなった。せっかくボールを奪っても、奪い返されてカウンターを浴びるのが怖いのか、サポートが少ないからすぐに失ってしまった。

 相手は世界ナンバーワンのブラジルである。狙いどおりにゲームを進められれば理想的だが、現実的に考えれば、プランを覆される可能性のほうが高い。ところが、実際に2点を先行されてプランが崩れたとき、どうするのかが見えなかった。

 ハリルホジッチ監督が3年前のブラジル・ワールドカップで率いたアルジェリア代表のように、失点するたびに強烈な反発心を発揮するわけでもなく、いったん引いて守って立て直すわけでもなく、「前から行くのか、しっかりブロックを作るのか、もう少し統一できればよかった」と長谷部誠(フランクフルト)が語ったように、戦術的統制を欠き、前半のうちに勝負を決定づける痛恨の3失点目を与えてしまった。

 相手を徹底的に分析し、それに基(もと)づいて戦略を立て、相手の嫌がることを仕掛けるのがハリルジャパンの真骨頂だ。アジア最終予選における大一番、2016年11月のサウジアラビア戦、2017年3月のUAE戦、2017年8月のオーストラリア戦ではいずれも狙いどおりにゲームを進め、勝ち点3を見事に掴み取った。

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