2017.11.14

あの歓喜から20年。岡野雅行が白状する、
劇的ゴールが生まれた真相

  • 井川洋一●取材・構成 text by Yoichi Igawa
  • 梁川 剛●撮影 photo by Yanagawa Go

 そうしたら、城がゴールを決めて同点になった。勝たなきゃいけないってことは、『もうひとりFWを出す可能性もあるな』と、また期待が膨らんだ。ただその一方で、同点になって以降、試合はどんどん膠着し始めるんです。当時、イランでは(試合に)負けたらムチ打ちの刑に処されるとか、そんな噂が流れていて、僕らも負けたら日本には帰れないと思っていたので、どちらも余計なことをしなくなって……。ボールを持ったら、長いボールばかり蹴り出した。

 あと、あのとき現地まで応援に来てくれたサポーターは本当にコアな人たちが多くて、『ドーハの悲劇』を経験している方ばかりでしたから、スタンドがざわつき始めるんです。『あれ、あのときと同じ展開じゃない?』みたいな。

 そうなってくると、それまで『(試合に)出してくれよ』と思っていた僕も、その異様な雰囲気を感じて、『出たくないな』と思うようになって。『こんな場面で試合に出るのは絶対に嫌だな。日本代表の試合って、こんなプレッシャーなのかよ。本気で命をかけてんな』と思って、試合に出るのが怖くなったんです。それからは、アピールなんか一切しないで、岡田さんと目が合わないように隅のほうに隠れていましたね(笑)」

――しかし、岡野さんの内心とは裏腹に、監督から声がかかりました。

「実は後半が終わったあと、延長に入る前の休憩のときに、本田(泰人)さんからVゴール方式だってことを教えられて、そこで初めてその試合のルールを知ったんですよ(笑)。それで、本田さんに『おまえ、バカじゃねぇの!』って怒られて、『すみません……。いや、それは大変ですよね』とか言っていたら、岡田さんから『岡野!』と呼ばれちゃって。『いやいやいや、”秘密兵器”でもここはやめましょうよぉ~』って、心の中で叫んでいました(笑)。