おめでたいぞ、ハリル。ブラジル戦の真実は「大人と子供」の前半にあり (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 逆に日本は両サイドバックがゲームに絡めなくなった。ネイマールと対峙することになった酒井宏樹は、いつにも増して低い位置で後方待機を余儀なくされた。ウィリアンと対峙した長友佑都もしかり。10月のニュージーランド戦、ハイチ戦で見せたような攻め上がりと高い位置でチャンスメークに絡む余裕がなかった。最近の試合で、最も安心して見ていられた長友が抑えられれば、いまの日本に拠りどころはない。

 長谷部誠、井手口陽介、山口蛍で構成された日本の中盤は、言ってみれば専守防衛隊だった。気の利いたプレーは望めない。また、左の原口元気は相変わらず周囲と絡む協調性を欠き、右の久保裕也には力不足を感じた。

 この日のスタメンは、ハリルホジッチの考える現状のベストメンバーと思われるが、見直す必要性を強く感じる。

 マルセロに2点目のゴールを決められたシーンでは、直前に井手口が致命的なクリアミスを犯していた。安易なプレーと言うべきなのか、技術不足と言うべきなのか。両方が絡んだ末のミスなのだろうが、いずれにしてもかなりレベルの低いプレーだった。身体能力の高さを売りにスタメンの座をあっさり確保した井手口だが、残念ながらサッカーそのものは上手ではない。ボール奪取能力を発揮できなければ、平凡な選手に成り下がる。その彼を4-2-3-1の1トップ下に据えたサッカーでは、いい攻撃は期待できない。

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