おめでたいぞ、ハリル。ブラジル戦の真実は「大人と子供」の前半にあり (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 テスト色はそのたびに深まっていった。それまでのいいリズムを敢えて崩し、選手を試そうとしたわけだ。差を詰めようとして5人を代えた日本とは、交代の概念が大きく違っていた。

 ブラジルが後半、日本と同じ価値観で戦っていなかったことは明白。3-0が3-1になった理由は、日本ではなくブラジル側にあった。もし0-0で前半を折り返したら、後半のブラジルはそれこそ、これはマズいと、しゃかりきになってきたに決まっている。そのあたりの事情をすっ飛ばして、「0-0で折り返していたら、日本は偉業を成し遂げていたかもしれない」と、無知を装い(?)、胸を張る姿は、実に痛々しい。ハリルホジッチが何と言おうと、この試合の真実は、まさに大人と子供の関係というべき前半の戦いにあったのだ。

 日本はブラジルの素早いパス回しについていけなかった。ウィリアンとネイマールが両サイドに開く4-3-3。2人が開けば開くほど、守備に回る日本の選手の間隔は空いた。真ん中の危険なエリアにスペースが生まれることになった。その結果、日本のプレスのかかりが悪くなるところを、ブラジルはパスで切り裂いた。

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