なでしこジャパン異色の29歳、櫨(はじ)まどかは攻撃の要となるか (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 このことは阪口も感じていた。「こっちの動きを見てくれている。私がまだ彼女のプレースタイルを理解しきれてないんだと思う。攻撃でも櫨に入れて前でもう一回受けてみたい」

 ここ数試合、なかなか決定的な形を作り出せない攻撃スタイルを打開すべく、相手を揺さぶる"縦"を意識している阪口。中でも自ら縦へ走りボールを受ける抜け出しは、常に狙い続けているプレーだ。後半に1度阪口が仕掛けた際、残念ながらそこに反応するパスは出てこなかった。阪口はむやみに持ち場を抜け出す勝負には出ない。ここぞというタイミングが来たときにのみ彼女はスタートを切る。多くの選手が阪口に使ってもらう意識はあっても、阪口を使う意識がないことがうまくいかない最大の要因だ。

 櫨であれば、それを可能にできるのではないか。そのためには、4-2-3-1はハマる布陣だ。櫨はなでしこジャパンでは遅咲きでも、経験値は豊富。ベテランらしく情報処理能力が高く、かつ正確だ。初めて触れる"なでしこ感覚"を吸収して実践するまでのスピードがダントツで速い。櫨自身の吸収力もさることながら、年齢が近い阪口と絡むプレーが、そのままなでしこジャパンの新しい色になる可能性さえ秘めている。あとは、ゴール前でフィニッシュに持ち込む意識がより高まってくれればなお好ましい。

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