スペインの名指導者から苦言。「日本のダブルボランチは動きすぎだ」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 日本はボランチの山口蛍が積極的に攻撃参加。序盤、武藤嘉紀へ送ったロングボールの質は高かった。山口は中央部から崩そうと前線に近づき、ミドルシュートも放ち、ニュージーランドを脅かしている。

 しかし、中央で山口、井手口陽介というボランチが同時に動くことで、チームのバランスは偏っていた。中央から無理押しで攻めるのは得策ではない。ダブルボランチというのは攻守のバランスを重んじ、サイドバックの攻撃参加を促すプレーが本筋である。長友佑都、酒井宏樹を動かすことで、日本はもっと有効な攻撃ができるだろう」

 エチャリはボランチが自ら動き回ることで守備の綻(ほころ)びを作るよりも、周りを動かすことによって潤滑な攻撃を促し、攻守の両輪となることを求めた。

「そもそも中盤の2人が八方に動き回ることで、カウンターの脅威にさらされている(この点で長谷部誠は気が利いている)。例えば前半29分、槙野智章がカットしたボールは相手に再びカットされ、ディフェンスラインの裏を狙われている。吉田麻也は逆を取られ、ターンで遅れ、走り負けた。このとき、ボランチもサイドバックも前に出ていたことで、数的同数を作られてしまった。相手FWのレベルが高かったら......推して知るべしだ」

 ボランチがポジションを明け渡すことで、強固とは言えないバックラインは相手の攻撃に晒されてしまう。結局のところ、中盤の慌ただしさが攻守の不安定さを生じさせている、とエチャリは読み解く。一方的に攻めていたのに、突如として流れを失ってしまう理由だ。

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