ぼう然のNZ戦...。日本代表は「何にもない」チームになってしまった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 ハリルホジッチ監督はおそらくニュージーランド戦で"Aチーム"(常連組中心)の先発起用を、4日後のハイチ戦(10月10日/日産スタジアム)で"Bチーム"(新戦力や代表での出場機会が少ない選手中心)の先発起用を考えているのだろう。だとすれば、ニュージーランド戦はさすがの戦いぶりを見せたけれど、ハイチ戦ではチームの体をなしていなかった......というならうなずける。

 ところが実際は、アジア予選に参加したとしてもW杯の出場権を取れるかどうかというレベルの相手に対し、常連組中心でもこの有様だったのだ。冒頭に挙げたような"言い訳"も、説得力に欠ける。

 アジア最終予選をはじめとするこれまでの戦いを通じ、今の日本代表は時間をかけて、そのつど対戦相手の対策を講じれば、"いい試合"ができることはわかった。いい試合とはつまり、相手の長所を消し、自分たちに流れを引き込む試合である。

 もちろん、戦い方の引き出しが増えることは悪いことではない。相手の出方や試合の流れに応じ、柔軟に対応できるなら、それが理想である。

 とはいえ、一夜漬けでテスト範囲だけを頭に叩き込むようなやり方で引き出しを増やしても、やはり限界がある。「自分たちのサッカー」という言葉が批判の的になったアルベルト・ザッケローニ監督時代をアンチテーゼとし、「相手に応じたサッカー」は一見、日本代表が進歩しているように感じさせるが、その実、戦い方をコロコロと変えてきた結果、自分たちのベースがどこにあるのかわからないチームになってしまった。そんな現実が表に出てしまったのが、ニュージーランド戦ではなかったか。

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