NZ戦のイマイチな香川真司に見る、
「迷路にはまり込んだ」ハリルJ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 カットされた側は、そこで頭を切りかえ、奪い返しにいくのが常識だ。奪えなくても、プレッシャーをかければ、相手のミスを誘発できる。にもかかわらず香川は、そこで粘りのない淡泊な動きを見せた。惜しかった余韻に浸るかのようなポーズを取り、ボールへの反応を怠った。

 ブラジルW杯対コートジボワール戦でも似たようなシーンがあった。奪われた後、がっかりしたポーズを取る間に10メートルほど相手においていかれた。この応援精神を削ぐようなアクションを、香川はしでかす。

 長い間、香川とともに中心選手の座に就いていた本田圭佑が選外に漏れたいま、香川の役割は増している。ところがその香川も、この日が4試合ぶりの出場だ。香川も評価を落としている。もし彼が一介の選手なら、すでに外されていた可能性さえある。中心選手不在に陥る危機を日本は迎えているのだ。

 後半15分、その香川は交代の1番手としてベンチに下がった。同じタイミングでピッチを後にした大迫勇也とは、別の意味を感じる交代だった。

 日本の失点シーンはその1分前。後半14分だった。ピンチは相手ボールの右サイドでのスローインから始まった。そして、相手の11番、マルコス・ロハスが、ドリブルで前進する。状況は2対1だった。井手口陽介と長友佑都が、そのアクションに対応していたハズだった。

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