NZ戦のイマイチな香川真司に見る、「迷路にはまり込んだ」ハリルJ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 8分、香川がゴール正面からポスト直撃弾を放つと、攻める日本、守るニュージーランドの構図は、より鮮明になった。後半15分のスコア(1-1)を、この時点で予想した人は少なかったに違いない。

 しかし、この香川のシュートは、むしろ現在の日本が抱える問題点が集約されたシーンだった。惜しくないシュートだった。仕留めなければならない決定機を香川は外した。そう捉えた方がいい。ここで香川が決めなかったので、後半15分まで1-1で推移した。そう言ってもいい。

 香川は23分にも正面から放ったシュートを吹かしている。シュートに持ち込む動き、そしてなによりインステップキックそのものがうまくないのだ。代表試合出場数89試合を数える香川だが、ドルトムント、マンUでのプレーを含めても、この手のシュートを決めたケースは滅多にない。決定力不足というより得意ではないのだ。

 28分、左サイドから武藤嘉紀が折り返したグラウンダーのボールが、香川の足下に届く寸前にカットされたシーンがあった。相手のディフェンダーも楽々止めたのではない。ギリギリ足を伸ばしたので、ややもたついた。ただちに次の動作に移れる体勢ではなかった。

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