惨敗のW杯、日本代表へのバッシングが、なぜ城彰二に集中したのか? (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 すると後半11分、決定的なシーンが訪れた。中盤からの縦パスを受けた城は、相手DFをかわしてフリーでゴールに向いた。だが、右足を振り抜いたシュートはジャストミートせず、ボールは力なくゴールの左へ外れていった。

 スタンドではため息が漏れ、直後に罵声へと変わった。

W杯3戦ではノーゴールに終わった城彰二。photo by AFP/AFLOW杯3戦ではノーゴールに終わった城彰二。photo by AFP/AFLO 前半39分に先制ゴールを奪われ、後半9分に追加点を許した日本。0-2と敗色が濃厚となっていく中、サポーターやファンの絶望からくる怒りと鬱積した不満は、ほとんどすべてが城に向けられていったのだ。

 もはや"エース"への期待は霧散し、城自身の膝も限界だった。

「城、交代だ」

 後半14分、岡田武史監督が呂比須ワグナーとの交代を告げた。呂比須への期待からか、スタジアムのムードは少し生気を取り戻した。

 その喧騒の中、城はうなだれたままロッカ-へと消えたのである。

「もうちょっと長くプレーしていたかったけど、膝がダメだった。交代したときは、『これで、W杯が終わってしまった』『結局、結果を出せなかった』という悔しさでいっぱいだった」

 その後、日本は中山雅史がW杯での日本人初ゴールを決めたが、1-2でジャマイカに敗れた。3連敗という厳しい現実を突きつけられて、日本は初めてのW杯での戦いを終えたのだった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る