小野伸二を超える衝撃。鹿島の
「和製クライフ」安部裕葵は代表でイケる

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 19年前の小野がそうであったように、強固なディフェンダーを目の前にしても自信満々。その雰囲気や様子は、動きのシルエットの中に表れている。期待感を存分に抱かせる18歳の新人。日本代表としても十分に"いける"と確信した瞬間でもある。

 古いたとえで言えば、牛若丸。小さくて俊敏。動きが軽々としていてケレン味がない。表情、面構えもいい。相手に対する優位性がそこに滲(にじ)み出ている。技術的にも文句なし。右足も左足も使えるうえに、ポジション的にも万能型だ。

 この世代の選手では、MF堂安律(フローニンゲン/オランダ)を推す声が大きいが、プレーに余裕があるのは安部。U−20代表には、余裕で選ばれていなければならない"大物"だ。だから余計に、日本サッカー協会の指導者の目を思いっ切り疑いたくなる。

 プレーがポップで臭みがないし、アイデア、企画力もある。イケているのだ、全体的に。

 どこかで「和製ディバラ」と紹介されていたが、僕はズバリ、「和製クライフ」と言いたくなる。クライフよりサイズは小さめながら、彼に似たカリスマが安部にはある。なにより見ていて楽しい。サッカーという競技をより面白い競技に見せてくれる選手だ。

 岡田監督は小野をW杯本大会に連れて行き、そして第3戦で起用した。時の技術委員会の強い押しがあったからだと聞く。

 安部にはその手の援軍は期待できない。内山、影山両指導者の評価は思い切り低い。それこそ、ここでプッシュしたくなる大きな理由だ。

 少なくとも、僕にとって安部裕葵はJリーグで一番見たい日本人選手だ。19年前の小野と同じポジションにいる。

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