小野伸二を超える衝撃。鹿島の「和製クライフ」安部裕葵は代表でイケる (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もっとも小野の場合は、高校時代から知られた存在だった。天才的な選手だと騒がれていた。先述のプレシーズンマッチ観戦も、そうした予備知識に基づいていた。たまたま見に行った試合で、偶然、凄い新人に出くわしたわけではない。

 鹿島アントラーズのFW安部裕葵(あべ・ひろき)との違いは、そこだ。

代表でどんなプレーをするか見てみたい鹿島の安部裕葵代表でどんなプレーをするか見てみたい鹿島の安部裕葵 年代別の代表に選ばれず、日本サッカー協会からさほどマークされてこなかった選手だ。瀬戸内高(広島)時代、ベスト8入りした高校総体で活躍した選手。肩書きはこれだけに過ぎない。

 Jリーグデビューは4月1日(第5節)。大宮アルディージャとのアウェー戦だった。後半29分から登場。ロスタイムを含めてもわずか20分のプレーだったが、こちらの目は奪われっぱなしだった。なんだこの選手は......。突然の出来事だったので、小野伸二のときより衝撃的だった。

 鹿島はJリーグチャンピオン。敷居の高いチームのはずだ。そのチームで、つい先日入団したばかりの知名度の低い高卒ルーキーが、舞台を圧倒するようなプレーを繰り広げる光景に、こちらのサッカーマインドは思い切り触発された。この選手は"いける"と確信した瞬間でもあった。

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