ハリルに推薦。長谷部のサブは「周りが輝く」柏の大谷秀和がぴったり (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 窪田亮●撮影 photo by Kubota Ryo

『勝利するリーダー』

 その肖像が浮かび上がる。23歳当時は年長の選手も多いなか、彼らを納得させたのは、リーダーとしての生来的な資質だったのか。監督と対話し、選手に活を入れながら、自らを律する。多くの選手はその負担に潰れる。

 大谷は、そのメンタルだけでも、代表に招集されても不思議ではないが、実は一度もその経験はない。

 主な理由としては、「アテネ世代」の最年少だけにユースや五輪代表に縁遠かったこと。ひとつ上の「シドニー世代」で小野伸二、遠藤保仁、稲本潤一ら黄金の中盤が君臨していた点が挙げられるだろうか。また、日本サッカーの悪癖として、中盤の選手に華やかさや、数字や、プラスアルファの武器を求める傾向が邪魔をした。スルーパスや、走行距離や、シュートセンスや、インターセプトなどを持ち上げすぎるのだ。

 しかし、大谷ほど"チームという舞台を回せる役者"はいない。

 直近の横浜F・マリノス戦(Jリーグ第26節)、大谷は前後左右をカバーし、バックラインに下がり、不調のチームを好転させていった。ポジション取りひとつで、周りの選手はパスの角度や距離を得られるし、カバーがあるから、と安心して勝負にいける。ワンタッチで的確にボールをつけられることで、味方はアドバンテージを得てボールを持ち運べる。今シーズン、柏のMF手塚康平、DF中谷進之介、DF中山雄太ら若手が成長しているのは必然だろう。

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