ハリルの選手起用で考える、守備的MFは永遠に「長谷部頼み」なのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 アギーレジャパン以前の日本の平均的なボール支配率を60対40とすれば、現在は40対60だ。それはハリルジャパンの「縦に速いサッカー」に起因する。スピードが上昇すれば、ボール操作ミスは自ずと増える。

 SBの活躍度も支配率と深く関係する。サイドは真ん中よりボールを奪われにくい。そうした特徴のある両サイドを有効活用した分厚い攻めは、ハリルジャパンに不足している要素だ。

 アギーレジャパンとの比較でいえば、SBの基本ポジションが低い。攻撃に絡みにくい設定になっている。特に右の酒井宏。ボール回しに関わる機会が少ない。専守防衛になりがちで、いささか古臭く見える。中盤が広く空いてしまう理由でもある。SBが活躍するサッカーこそ、小柄な日本人が目指すべきサッカーだと思うのだが。

 期待したい新戦力は、車屋紳太郎だ。4-2-3-1の3の左は、乾貴士にせよ、原口元気にせよ、宇佐美貴史にせよ、右利きが揃う。バランスを考えれば、SBに欲しいのは、攻撃に深みが出せる左利きだ。左サイドが右利き2人では、攻撃はどうしても浅くなる。左利きの左SB。その中では車屋が一番になる。もっとも、所属の川崎Fのサッカーはハリルジャパンとは対照的な遅攻型。ない物ねだりであることも確かだが。

 一方の右サイドは、内田の復帰を願うばかりだ。

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