スペインの名将が豪州戦を分析。「サッカー戦術の教材として最適だ」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 ここで特筆すべきは、ハリルホジッチ監督の采配だろう。疲労の見えた乾に代え、原口を投入。再び前線からの守備を強化する手を打った。これによって、日本は再び勢いを取り戻し、井手口、大迫が立て続けにシュート、相手ゴールを脅かした。

 そして82分、原口が敵陣で果敢な守備からボールを奪い、それを拾った井手口が2人のディフェンスと駆け引きし、右足を振り抜いた。ハリルホジッチの交代策が奏功したといえる。結局、首尾一貫した前線からの守備とカウンターで勝負を決めた」

 エチャリはタクティカルゲームをこう締め括っている。

「観客にとって、輝かしいプレーは少なかった。驚くような個人技もない。しかし、戦術的には内容が濃い試合だったと言える。指導者は研究対象にするべきだろう。対照的なプレースタイルのチーム同士の戦いで、選手交代での妙もあった。それにしても、オーストラリアが90分間、愚直なまでにポゼッションを続けようとしたのは無策に映った。結果的に、それが2失点目も招いた。

 最後になったが、ハリルホジッチ監督と日本代表選手、そして日本の皆さんを祝福したい。ワールドカップ予選を勝ち抜き、本大会に出場する。それはどんな国でも、簡単なことではない。偉大な勝利だった」
(つづく)

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