忍者サッカーで豪州を惑わす。
勝因は「非・本田圭佑」的な選手の抜擢

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 今回の予選は苦戦必至。プレーオフもあり得る。W杯出場を逃す可能性だって少なくない......。不安はつい最近まで大きく膨らんだ状態にあった。サウジアラビアがUAEに敗れたことで、不安は2~3割程度和らぎ、この勝利で一変、雲散霧消した。

 いま世の中は、よかったよかったという話になっている。だが、これで反省、検証を忘れるなら愚かすぎる。わずか1試合やそこらで、物事が劇的に改善されることはないのだ。喜ぶのはその日限りで十分。W杯でどこまでやれるのか。求められているのは本番から逆算する目だ。

 気になるのは9月5日のサウジアラビア戦だ。本大会に向け、新たなスタートを切ることになるこの試合に、ハリルホジッチはどんなスタメンで臨むのか。活きのよさ、俊敏さ、若さなど、オーストラリア戦で得た収穫をベースに、残り10カ月、いかなるストーリーを築き上げるのか。

 注目だと言いたくなるが、この原稿を書いているいま、話は少し、ミステリアスな方向に進んでいる。ハリルホジッチに日本代表監督を続ける意思があるのかないのか、図りかねる状況に陥っているからだ。

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