12年前に中東の地で、なぜ福西崇史は中田英寿と言い争ったのか (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

「3バックを応用すれば、4バックも(簡単に)できるだろうって思うかもしれないけど、3バックと4バックは全然違う。4バックには4バックの練習が必要なんです。その練習時間がないなか、みんなとボールを追い込むときはどうする? ということ話し合った。ヒデをはじめ、みんなの意見はそれぞれ正しいけど、問題はみんなの考えをいかにまとめて、ひとつのやり方に落とし込むかってことだった。

 クラブチームだと、自分たちで話をして『ボールの取りどころはここだから、そこで出ていこう』とか『カバーしよう』とか、ある程度時間をかけて実践できるけど、代表はそう簡単じゃない。時間がないのもあるけど、みんな、考えが違うし、なかなか(自分の考えを)引かないからね。それに、相手がどう出てくるのか、試合をやってみないとわからないところもあった。

 ただ、DF陣に聞いたら、俺が前に出ていくのは『怖い』と言っていた。俺もそう思ったから、まず最終ラインや守備のことを考えて、慎重にやっていくべきだと言った。でも、ヒデの主張は変わらない。(あの場では)平行線のまま、話は流れてしまった」

 結局、話し合いでは結論が出ないまま、守備練習は終了。紅白戦がスタートした。

 スタメン組のAチームはサブ組のBチームに圧倒され、1-2で敗れた。練習後、ジーコ監督は「ミスが多く、最悪だ」と吐き捨て、あからさまに不満げな表情を見せた。

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