シアトルの川澄奈穂美に聞く、ホンモノの「縦に速いサッカー」とは? (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「それ、私も思います(笑)。若手みたいだなって。まだ自分に伸びしろを感じることができるってうれしいことです」

 もともと縦への推進力は川澄の得意分野だが、アメリカの縦サッカーはスピードが比較にならない。実際、チームメイトである宇津木瑠美はその高い技術を駆使して何本ものフィードパスを繰り出す。川澄の場合は逆に受け手として縦のパスに順応している。そのほとんどが宇津木以外、つまりはパワーのある選手たちからの縦パスを受けており、それがオフサイドになることは少ない。日本人としては何ともうらやましい縦に抜けるプレーをなぜ、川澄はできるのか。

「そもそも(パスの)出し手の選択肢がDF裏というのが日本との絶対的な違いです」

 パスの先を探した後に出す縦パスではない。出てくるパスが消去法ではないため、時間のロスがないということだ。そんな共通意識があれば、日本人のフィジカルでも縦パスは通る。川澄のプレーはそれを証明していた。そのスタイルにフィットするには自分が合わせるしかなかったのだという。

「でも瑠美とナホのときは、日本人らしくなります(笑)。ラピノーには厳しめのパスを出す瑠美も私には優しいパスを出すんです。まあラピノーに出すパスを私にくれても厳しいんで(笑)」

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