アメリカでも主力級。川澄奈穂美と宇津木瑠美の様子を見に行ってきた (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 シアトルのようにタテに動く展開は走力勝負でもある。しかし、その中で2人の日本人選手はそれぞれの長所を存分に発揮し、チームに鮮やかな色をつけているように見えた。試合を決するゴールを生み出すラピノーはアメリカ女子代表のスター選手だ。その走り出しは速く、宇津木自身も「ピノに対しては、自分の中でかなり速いタイミングでボールを出しています。それでちょうどいい」という。

 嬉々として攻撃に参じるラピノーだからこその得点力ではあるが、その代償として、ラピノー不在の左サイドには大きな穴が開く。度々狙い撃ちに合うそのスペースを四六時中ケアしているのが宇津木だ。「ピノ~! 戻って来いっ!」って思いながら駆け回っていますよ」と笑う宇津木は、ラピノーへつなぐ絶妙なパスを配給しながら、こうしたアップダウンで1試合約10キロもの走行距離を稼ぐのだ。

 そして、攻撃においてそのラピノーから絶大な信頼を寄せられているのが川澄である。川澄の縦のボールにいち早く反応してゴール前までラピノーが走り込むこともあれば、右サイドの川澄が直接逆サイドのラピノーに鋭く合わせるシーンも度々見ることができる。その逆もしかり。ラピノーの動きに注目していると、必ず視界に川澄のポジションを確認していることがわかる。

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